〝筋力をつける〟 の落とし穴

健康番組を見ていると、 「〇〇筋が弱っているので、筋力をつけるトレーニングをして下さい」 と言うフレーズをよく耳にします。 筋肉が正常な機能を失い、歪みや症状を惹き起こしている場合、 ①筋肉が緩み過ぎて、力が無くなって機能を失っているもの ②筋肉が過緊張して、拘縮している為に 正常な機能を失っているもの の2通りのケースがあります。 昔から 「腰痛には腹筋を鍛えると良い」と言いますが、 腰が後ろに曲がって飛び出している人は、①で大腰筋に力が無くなっている のですが、腰椎が反り過ぎて、立位や伏臥位で腰の骨の突起が触れない  反り腰タイプの腰痛は、②のケースで、大腰筋が過緊張した為起こっているのです。 以前テレビ番組において 医師の方が、 「外反母趾も、長腓骨筋と後脛骨筋の筋力の衰えにより起こっているから、 予防には、これらの筋力をつける必要がある」 と言われていました。 そして、行う様に指示されたのが<両足でのつま先立ちエクササイズです。 確かに、外反母趾は、長腓骨筋と後脛骨筋が緩んでいる側に 起こっていますが、これは、筋力が無いというよりは、緊張バランスの崩れにより、 足に捻じれが加わってくるものと考えられます。 その為、両足共に、これらの筋肉が緩んでいる訳でないので、両足で行うのは あまり意味が無さそうですね。 この様に、筋力をつけるエクササイズをするのに、殆んどの場合、 両側を行いますが、全ての場合において、一対ある筋肉は、必ず 緊張の左右差があるので、弛緩側のみに力を付けるか、弛緩側に力をつけて 緊張側を緩める必要があります。 骨盤を支える筋肉、中臀筋や腸骨筋に力が無くなって  腸骨が開いて下がっている場合、 両側に力が無いように見えますが、どちらか 力が無い側の下がるのに 引き連れられる形で下がっているのです。 この様に、体を解ってエクササイズやストレッチをしないと、少しずつ間違った 刺激が蓄積して、反って悪くなったり、余計に歪んでしまう事も起きてくるのです。


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